当院では皮膚疾患全般の診断や治療を行っており、患者様一人ひとりの症状に合わせて外用薬や内服薬を処方いたします。症状やご希望に応じて漢方薬を使用することもあります。
正確な診断と治療のためにダーモスコピーや皮膚生検などを含めた専門的な検査を行っております。
入院加療が必要な患者様や、より専門的な検査や治療が必要な患者様は、大学病院などの適切な医療機関にご紹介させていただきます。
小児は大人に比べて肌が繊細で、湿疹やとびひ・水いぼなどの皮膚感染症をはじめとしたさまざまな皮膚トラブルを起こしやすくなります。治療にあたっても特別な配慮が必要となります。
近年では新生児期より保湿剤の外用によるスキンケアや湿疹の治療を行うことにより、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症のリスクを減らせると考えられています。
当院では生後すぐの赤ちゃんから診察が可能で、お子様の気持ちに寄り沿った診療を行います。
キッズコーナーやトイレにおむつ交換台を完備しており、診察室へもベビーカーのままお入りいただけますので、小さなお子様も安心してご来院ください。
アトピー性皮膚炎は、皮膚の乾燥とバリア機能の異常に環境因子や様々な刺激が作用して生じる、慢性に経過し増悪・寛解を繰り返すかゆみを伴う皮膚炎です。
一部の方で生まれつきフィラグリンという皮膚のバリア機能に重要な物質の遺伝子に異常があることがわかっています。
アレルギーの原因については、乳幼児では食物アレルゲン、それ以降ではダニ、ハウスダストなどの環境アレルゲンが関係していることがあります。刺激因子としては、汗のほか、空気の乾燥や皮膚に触れる様々な物質、ストレスなどがあります。
治療
当院では、皮膚炎に対して一人ひとりの症状に合わせたステロイド外用剤やタクロリムス軟膏を用いて炎症を抑えます。このような薬物療法の他に、皮膚の清潔のための入浴やシャワー、保湿剤の外用など、スキンケアをしっかりと行うことが非常に大切になります。
皮膚炎症状が落ち着いた後も、保湿剤中心としたスキンケアを継続しつつ、皮膚炎が起こりやすい部位にステロイド外用剤やタクロリムス軟膏を週1～2日外用することで、皮膚炎の落ち着いた状態を維持することを目標としています。（プロアクティブ療法）
また、症状に応じて抗アレルギー薬や漢方薬を併用します。
ご希望により、環境アレルゲンの血液検査や悪化因子を特定するためのパッチテストなども行っています。
皮膚の一部がかゆみを伴い赤く盛り上がり（膨疹）、しばらくすると跡かたもなく消えてしまう病気です。多くは数十分から数時間以内に消えますが、次々と新しい皮疹が出没し、常に皮疹が現れているように見えることもあります。
原因は食べ物や薬などのアレルギーのほかに、風邪などの感染症、疲労やストレス、寒冷刺激など様々です。
発症後1か月以内の急性蕁麻疹、あるいは何かの機会に一致してたびたび現れる蕁麻疹では原因を突き止められることもありますが、1ヶ月以上もの間、毎日のように現れては消える蕁麻疹（慢性蕁麻疹）では、原因を突きとめられないことも多いです。
アレルギー性の蕁麻疹が疑われる場合には血液検査を行います。
治療
治療の第一は原因・悪化因子を探し取り除くことですが、難しい場合には抗ヒスタミン薬を中心とした内服薬による治療を行います。原因のはっきりしない慢性蕁麻疹の場合には、内服薬を継続しつつ症状をコントロールして、少しずつ薬の量を減らしていきます。
ニキビは、皮脂の分泌が多くなり毛穴が詰まり、毛穴の中に皮脂がたまることで始まります。この状態が白ニキビ（面皰）です。この白ニキビの中でニキビ菌（アクネ菌）が増殖し、炎症を起こすと赤ニキビや膿がたまったニキビを引き起こします。強い炎症を生じて、毛穴の周りの皮膚に障害を与えると、ケロイド状に盛り上がったり凹んだりして瘢痕を残します。
治療
白ニキビ、赤ニキビのどちらに対しても、アダパレンや過酸化ベンゾイルという面皰改善作用のある外用薬を使用します。赤ニキビは症状に応じて抗菌薬の外用や内服を併用します。
このほかにビタミン剤の内服や漢方薬を併用する場合もあります。
赤ニキビが改善した後も、白ニキビに対して面皰改善作用のある外用薬を継続することが大切です。
1日2回の洗顔やノンコメドジェニックと表記されているニキビ用の基礎化粧品の使用をお勧めします。
睡眠不足や昼夜逆転の生活はホルモンバランスが崩れ、ニキビの悪化因子になる可能性があるため、規則正しい生活を心がけましょう。
当院では保険治療でのニキビ圧出のほか、自費診療で、肌質改善の為の光治療（ICON）やニキビ跡に対する炭酸ガスフラクショナルレーザー（CO2RE）治療も行っております。
乾癬は皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、銀白色の厚い皮がつき、ポロポロとはがれ落ちる症状を認める病気です。発疹の大きさ、数、形は様々ですが、慢性の機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、すねなどが発疹のできやすい部位です。
乾癬になりやすい遺伝的素因に、様々な環境因子（不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など）が加わり発症すると考えられています。
治療
当院では皮膚の症状に合わせたステロイド外用剤やビタミンD3外用剤、ステロイド外用剤とビタミンD3外用薬の混合薬による外用療法を行います。痒みを伴うことも比較的多く、その場合には抗ヒスタミン薬などの内服も処方いたします。
外用療法で改善が乏しい場合や、皮疹が広範囲の患者様にはご希望に応じてエトレチナートやアプレミラストなどの内服療法を併用いたします。
バランスのとれた食事や適度な運動、また規則正しい生活も大切です。
なお、関節炎を伴い皮疹が広範囲で重度の場合には、総合病院や大学病院などの専門施設に紹介させていただくこともあります。
円形脱毛症は髪の毛が突然抜け始める病気です。まるい脱毛斑が基本ですが、1か所と限らず多発したり、頭全体の毛が抜け、さらに全身の毛が抜けることもあります。
原因は自分の毛包組織に対してリンパ球が攻撃をしてしまう自己免疫疾患と考えられていいます。遺伝的な素因や精神的・肉体的なストレスが発症に関与している患者様もいますが、明らかな誘因が無いことも多いです。
治療
当院では患者様の症状に合わせて、ステロイド外用剤やカルプロニウム塩化物による外用療法、セファランチンやグリチルリチンなどの内服療法、液体窒素による冷却療法、ステロイド局注療法などを組み合わせて治療を行います。
老人性イボは20歳代ごろから出現し、主に中年以降に認める代表的な皮膚良性腫瘍です。主に顔、頭部、体幹などにみられ、大きさは1～2cmくらいまでのことが多いですが、色調は正常皮膚色から黒褐色まで様々です。
当院ではダーモスコープを用いて診断いたします。治療には、液体窒素を用いた冷凍凝固療法のほかに、自費診療で炭酸ガスレーザーを用いた治療も行っております。
酒さは主として顔、とくに鼻や頬、額を中心に赤みと細かい血管の拡張が持続する病気です。症状によって3種類に分類されます。
第1度酒さ：鼻、頬、前額、眉間に赤みや毛細血管拡張、ほてり感などを認めます。赤ら顔とも呼ばれます。寒暖差や飲酒などで症状が強くなります。
第2度酒さ：上記の症状が悪化し、ニキビのような発疹も加わります。
第3度酒さ：鼻がこぶのように鼻が盛りあがります（鼻瘤）。
原因・増悪因子
原因ははっきりとはわかっていませんが、悪化因子として、紫外線，外気温の急激な変化， 刺激のある食べ物やアルコールの摂取、精神的なストレスなどが知られています。
治療
酒さの増悪因子である紫外線や寒暖差、乾燥を防ぐことが大切です。遮光や日焼け止めの使用による紫外線対策と刺激の少ない洗顔料や保湿剤の使用が望ましいです。
タクロリムス軟膏や抗菌薬の外用治療のほかに、症状に合わせてテトラサイクリン系抗菌や漢方薬の内服療法などを行います。
当院では自費治療でロゼックスゲル（0.75％メトロニダゾール）の外用療法や、ICON Max Gを用いた赤ら顔に対する治療も行っております。
皮膚腫瘍には良性腫瘍、悪性腫瘍があります。
良性腫瘍にはホクロ（母斑細胞母斑）や粉瘤（皮膚の下に袋状の構造物ができてしまう腫瘍）、脂漏性角化症（老人性イボ）、脂肪腫、軟性線維腫などがあります。
悪性腫瘍には悪性黒色腫（メラノーマ）や基底細胞癌、ボーエン病などがあります。
ホクロや脂漏性角化症、メラノーマ、基底細胞癌などは、黒いシミのように見えたり、盛りあがりのあるできものとなることがあるため、ダーモスコープという拡大鏡を用いて観察し、悪性腫瘍を疑う所見が無いか確認します。必要に応じて、組織検査（皮膚生検）を行い診断します。
当院では良性腫瘍に対する小手術を行っております。また一部の良性腫瘍では自費治療となりますが、炭酸ガスレーザーを用いた治療も行っております。
腫瘍のサイズや部位によっては、形成外科や総合病院などに紹介させていただく場合があります。
悪性腫瘍に関しては、総合病院や大学病院などの専門施設に紹介させていただきます。
水虫は白癬菌という真菌（カビ）によって生じる感染症です。
足白癬には、足の裏に小さな水疱ができて破れて皮が剥ける小水疱型（汗疱型）や足のゆびの間の皮むけや白くふやける趾間型、ヒビ、アカギレのように足の裏全体が硬くなる角質増殖があります。爪白癬は爪が白や黄色く濁ったり、爪の下が厚くなりボロボロともろくなります。
いずれも、爪や皮膚の一部で顕微鏡検査を行い診断します。
足白癬は基本的には外用薬で治療致します。爪白癬の場合には内服薬による治療や、薬の飲み合わせや持病によっては外用薬による治療を行います。内服薬で治療を行う場合には肝機能障害などが生じる場合がありますので、定期的に血液検査を行います。
乳児湿疹とは、新生児期から生後数か月の乳児期までに生じる湿疹・皮膚炎の総称で、さまざまな原因で生じます。
代表的な疾患としては、乳児脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎（かぶれ）、食物アレルギーなどがあります。
乳児脂漏性皮膚炎では、新生児期から乳児期初期は生理的に脂腺がよく発達しているため、頭部や顔（とくにおでこや眉毛部、鼻のまわり）などを中心に細かいフケのような皮が付く赤い発疹を認めます。体やわきの下などに認めることもあります。
石鹸やシャンプーなどをよく泡立て洗浄し、清潔に保つことが大切です。症状に応じてステロイド外用剤やケトコナゾールの外用などを行います。
脂腺は徐々に退縮し、皮脂の分泌も徐々に減少するので12か月ごろまでに軽快することが多いです。
接触皮膚炎にはおむつ皮膚炎や口囲の唾液や食物による皮膚炎などがあります。
おむつにあたる部位に生じる皮膚炎で、尿や便による刺激性や、おむつの機械的な刺激、密閉環境などが原因です。
カンジダ症と区別が難しい場合には、顕微鏡検査を行います。
適切なスキンケアと、症状に応じて外用加療を行います。
ウイルス性イボはヒトパピローマウイルスの感染により発症します。イボの型にはいくつかありますが、なかでもよく目にする尋常性疣贅は主に手足に生じます。
治療は液体窒素を用いた冷凍凝固療法を1～2週間ごとに行います。症状に応じて、漢方薬の内服や塗り薬を併用することもあります。
ウイルス性イボを放置すると大きくなったり、数が増えたりすることがありますので早期に治療を開始することが大切です。ウイルス性イボは治りにくく再発することも多い病気ですが、焦らず根気よく治療してください。
水いぼは伝染性軟属腫ウイルス（ポックスウイルス）の感染により生じます。
自然に治ることもあると言われますが、様子を見ている間に数が増えたり、他のお子さんにうつしてしまう可能性もありますので、当院では基本的にはピンセットを用いて摘除いたします。痛みの軽減のために、年齢やご希望に応じて麻酔テープを使用することもできますので、お気軽に医師にご相談ください。
とびひはブドウ球菌や溶連菌などの細菌による皮膚の感染症です。あせもや虫刺され、湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に細菌が感染してとびひになります。接触によりうつり、ひろがります。みずぶくれができて、びらんをつくる水疱性膿痂疹や、炎症が強く厚いかさぶたを付ける痂皮性膿痂疹があります。
治療は、抗菌薬の内服と外用を行います。病変部に外用薬を塗り、ガーゼで覆うことが大切です。かゆみを伴うことも多く、かきむしることで病変をひろげてしまいますので、かゆみ止めの内服薬を併用することもあります。また、シャワー浴として病変部も石鹸を泡立てて洗い清潔にすることも大切です。
首イボは2-3mm程度までの半球状～有茎性の柔らかい小腫瘍です。年齢とともに増加することが多く、一種の加齢性変化と考えられています。
当院では液体窒素を用いた冷凍凝固療法のほかに、自費診療で炭酸ガスレーザーを用いたレーザー療法も行っております。
多汗症には全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増える局所多汗症があります。原発性局所多汗症は手のひら、足のうらや脇という限局した部位で両側性に過剰な発汗を認める疾患で、幼少児期ないし思春期ころに発症し、手のひら、足のうらは精神的緊張により多量の発汗がみられます。腋窩多汗症は精神的緊張や温熱刺激によって左右対称性に脇の下に多汗がみられます。
治療
当院では塩化アルミニウム外用療法を行っています。塩化アルミニウムを外用することで、汗の管が閉塞し、発汗が減少すると考えられています。1日1回寝る前に外用し、効果が出てきたら週2～3回に減らしても構いません。手足の場合には、塩化アルミニウム溶液を外用後にサランラップやゴム手袋などで覆い密封療法を行うとより効果的と言われています。ただし、いずれの場合にも刺激性の皮膚炎が起こる場合がありますので注意が必要です。
塩化アルミニウム外用液は保険適応外のため、自費診療となります。
症状に応じて内服療法を行う場合もあります。
接触皮膚炎（かぶれ）とは何らかの物質が皮膚に接触することにより、刺激性もしくはアレルギー反応を起こして発症する湿疹性の炎症反応をいいます。
原因物質が触れたところに赤みやぶつぶつとした発疹が出て、多くの場合はかゆみを伴います。
繰り返している湿疹の中には、身の回りの日用品や化粧品、化学物質などが原因となっている場合があります。
接触皮膚炎は、原因を特定し、その原因との接触を断つことができれば根治できる疾患ですので原因を特定することが最も重要です。かぶれによる皮膚炎に対しては、ステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬の内服などで治療します。
当院ではかぶれの原因検査のために、日本人で陽性率の高い22種類のアレルゲンの検査が可能なパッチテストパネル®（S）を用いてパッチテストを行っております。
巻き爪とは爪が内側に曲がって巻いてきている状態のことを指します。爪の側縁の先端がその周囲の皮膚組織に食い込んで、炎症を起こし、赤く腫れて痛みを伴うものを陥入爪と言い、出血しやすい肉芽を伴うこともあります。巻き爪と陥入爪は合併することもあります。
陥入爪は一般的に深爪と言われる、爪甲の側縁先端を短く切ることが原因となることが多いです。陥入爪になり、痛みを和らげるために、爪甲側縁先端をさらに短く切ると、より悪化します。巻き爪は、第1趾爪に起きやすいですが、深爪や小さすぎる靴、高齢者の場合には歩行をあまりしないために生じることもあります。
治療
巻き爪に対しては当院では自費診療で、ワイヤー治療（VHO法）を行っております。
巻き爪の左右に専用のワイヤーを装着し、固定することで爪の形を徐々に矯正します。
固定したワイヤーは爪の伸びとともに先端に移動するので、施術して約2、3ヵ月ごとに付け替えを行い、1年から1年半くらいかけて矯正していきます。
陥入爪に対しては、テーピングやコットンパッキングなどで治療を行います。巻き爪が原因になっている場合にはワイヤー治療（VHO法）を行う場合もあります。